別海フィールドの鳥類相

(財)日本野鳥の会北海道ブロック協議会事務局長 三浦 二郎

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miura-1  今回まとめられた「別海フィールドの鳥類」には、11目24科3亜科67種がリストアップされた。 これを種類数が多いとか少ないといった単純な評価を下すべきではない。
 日本産鳥類目録が作成された1974年には490種が登録されていたものが、その後のバードウォッチャーの急激な増加と、写真機材の長足な進歩等が相まって、1989年日本野鳥の会が公認した種類数は実に555種に増加している。 その間、沖縄本島特産のヤンバルクイナが新種として登録されたということもあるが、多くはユーラシア或いは北アメリカ大陸産のものが迷行してきたものが、日本国内や、その沿岸で発見確認され追加されたものである。
 別海フィールドは、別海町尾岱沼に位置し、北海道行政区域では根室支庁管内に属する。 北海道庁が1981年にまとめた「北海道における鳥類の地域別生息状況」は、道内14支庁別に生息鳥類をリストアップしたものであるが、このリスト作成の時点で根室管内では、14支庁随一の284種が記録(最低は桧山支庁の93種)されている。
 これは地域的にソ連極東地方に接し、また北米大陸とは渡り鳥が飛来しやすい列島と連なっていることと、鳥類生息環境要素が多様性に富んでいることに加え、優秀な野鳥観察者が定住するようになったことによるものである。 現在はそれが更に増加し306種がリストアップされており、その増加の理由は全国的な傾向と軌を一にするものであろう。
miura-2  さて、これらのリストの種類数と対比するならば、「別海フイールドの鳥類」の種類数はいかにも過少であるように見受けられるが、敷地内という限定されたフィールドでは、最もポピュラーな種がリストアップされたと言ってよいと思われる。 それは、干潟・海浜・海洋性の鳥類がほとんど生息し観察される可能性のないフィールドであるからで、前記の根室管内の種類数の内約半数はいわゆる水鳥である。 それ以外の陸鳥類の内、迷鳥と目される種を除いた普通種の殆どが記録されたということになる。
 さて、別海フィールドの野鳥生息環境としての要素として、広範な落葉広葉樹林と、当幌川の側に展開する湿原とがあり、一部に落葉広葉樹林と置換された常緑針葉樹林とがある。
 落葉広葉樹林はミズナラ・カシワが優占し、ダケカンバ・ケヤマハンノキ・シナノキ等が混生する。 その細部は植物相報告に譲るとして、こういう植生は東北海道の森林性鳥類に好ましい生息環境を提供している。 しかし、この森林は明治から大正年代に利用された牛馬の放牧地跡の萌芽二次林と考えられる。 このことは、同志の碑の西側に南北に構築された土塁跡が放牧牛馬逃散防止のもので、この地方の払下げ牧野で広く構築されたものであることからもうかがえる。
 湿原はキタヨシがやや優占する低層湿原から中層湿原への移行型で、こういう環境は、湿原性鳥類の生息環境として好まれる。
 ただ、森林と湿原との境界に発生するホザキシモツケ、クロミノウグイスカグラ等が形成するブッシュ型叢群の発達が少ないように思われ、ブッシュ性の鳥類の生息が乏しいように見受けられる。
 尚、針葉樹は人工的に植栽されたもので、樹齢は若く、針葉樹林性の鳥類の定着は今後に期待される。
 以下、科毎に若干の所見と、“北海道ならでは”という鳥について述べてみよう。





※確認されていない科について

シマフクロウ  確認されていない科のなかで生息が予想されるものについて付記する。
 フクロウ科のコノハズク・オオコノハズクは生息の可能性大であるし、フクロウも営巣すると思われる。 冬にはコミミズクが渡来するし、シマフクロウの巣箱への営巣も期待される。
 ヨタカ科のヨタカ、アマツバメ科のハリオアマツバメ・アマツバメも飛来の可能性があるし、ツバメ科のショウドウツバメ・イワツバメもこの地方で繁殖する。 コロニーも近くにあるので飛来はするが、今のところ繁殖コロニー形成の可能性はない。 また、ツバメ・コシアカツバメは少数がこの地区で確認されており、軒下に巣台を設置することによって、誘致は可能であろう。
 ヒヨドリ科のヒヨドリ、レンジャク科のキレンジャク・ヒレンジャクも餌台に果物類を置いてやれば誘致可能である。
モズ  モズ科のモズは確認もれと思われる。 アカモズは道内でも局地的分布を示しているので定着は未知数であるが、冬季にオオモズが飛来する可能性はあろう。
 これら確認種の他に、未確認種も今後相当数がフィールド内で確認されるだろうし、巣箱・巣台・餌台等の設置によって積極的な誘致策を講ずることによって、このフィールドが野鳥にとってよりよい生息環境を提供することになるのが期待される。


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