−1988年12月27日、新宿区内にて−

昨年8月の第15回合同会議の席上、創立者池田先生より『創価学園付属野鳥研究所』設置の構想が発表され、同時に準備委員会が発足し、北海道野付郡別海町の「創価学会北海道研修道場」内に『野鳥研究所別海フィールド』の設置が決定しました。
続いて同年11月の創価学園創立20周年記念祝賀協議会の席上、鹿児島県姶良郡牧園町の「創価学会九州研修道場」内に『野鳥研究所霧鳥フィールド』の設置が、さらに昭和63年8月の第18回合同会議の席上、沖縄県八重山列島石垣島の「創価学会八重山研修道場」内に『野鳥研究所八重山フィールド』の設置が決定され、発表されました。
これらは、それぞれのフィールドがその地方を代表する優れた自然と動植物に恵まれているところから、その自然を後世に残し、学術研究に役立てていくために設置されたものです。
野鳥研究所設置構想の発表後、準備委員を中心にした第1回視察調査を、別海フィールドでは昭和62年9月に、霧島フィールドでは昭和63年2月に行いました。
別海・霧島いずれのフィールドにおいても、地元の自然保護団体や有識者の方々から、「地域の知的活性化につながる」と大きな反響を呼びました。
そして、これらの視察調査の結果をもとに、この大自然の素晴らしさを学園生に体験学習してもらうサマーセミナーの実施を決定し、そのコースや内容を地元の方々と検討するために、別海・霧島両フィールドにおいて、第2回視察調査を昭和63年3月に行いました。
また、八重山フィールドでは、第1回視察調査を昭和63年10月に行いました。
琉球列島は日本のなかで亜熱帯の自然を代表する唯一の地域であり、”特異性”を持った動植物が見られます。
ここでの野鳥・植物研究所の設置もまた、地元の自然保護団体や有識者の方々から大きな期待が寄せられました。
そして、来年のサマーセミナーの細かい内容の検討のため、予定では、本日より第2回視察調査を行っています。
今年の夏休みに行った『創価学園野鳥研究サマーセミナー』については、聖教新聞や聖教グラフに大きく紹介され、また、前回の合同会議で創価高校の鈴木教頭から報告がありましたように、終始、創立者池田先生に暖かく見守られ、大成功で終えることができました。
ここでは、生徒の感想をいくつか紹介したいと思います。
(生徒感想文−省略)
このように、参加した生徒は大きく成長した姿を示しております。
ここで、野鳥研究所の今後の方向性について、簡単に紹介させていただきます。
まず、創価学園野鳥研究所は基本的に、授業に役立つ調査・研究を行っていくことを中心として進めてまいります。
そして、各研修道場の施設については、創価学会の理解と協力をいただきながら、野鳥研究・自然数育のフィールドとして利用させていただきます。
次に、具体的な活動としては、 (1) 調査研究活動、(2) 自然教育活動、(3) 自然保護活動の3つを柱として進めてまいります。
1番目の調査研究活動としては、毎日の気象観測、毎月の野鳥の生息調査、年4回程度の動植物・昆虫・地質を含めた専門家による総合調査等を行っていきたいと考えています。
すでに別海フィールドにおいては、北海道大学大学院環境料学研究科長の伊藤教授、日本野鳥の会理事の三浦先生、山階鳥類研究所標識調査員の阿部氏を中心に、創価大学と合同で第1回の野鳥・植物総合調査を8月に行いました。
ここでは、フィールド内の植生調査や野鳥のバンディング(捕獲して足輪をつけて放す調査)、及び自然観察路のコースやタンチョウの餌付けについての検討を行いました。
そして、山階鳥類研究所主任研究員の佐藤氏、同標識調査員の阿部氏を中心に第2回の野鳥調査を10月に行い、タンチョウの餌付け場所と方法、シマフクロウの巣箱設置場所等について、具体的に検討しました。
今後さらに、霧島・八重山の各フィールドにおいても、創価大学や地元の研究者と連携を取りながら、総合調査を重ねていきたいと思います。
ところで、創価学園野鳥研究所設置のニュースについては、野鳥研究関係者の間に少しずつ知られはじめ、関心が寄せられつつあります。
そこで、野鳥研究所の各フィールドの現状と今後の方向性について、より多くの野鳥研究者に正確に知っていただくために、千葉県我孫子市で11月に行われた「日本鳥学会1988年度大会」において、『創価学園付属野鳥研究所設置の構想について』とのタイトルでポスター展示による発表を行いました。
会場では多くの方々が関心を寄せてくださいました。
例えば、日本鳥類保護連盟の江原事務局長は「私立学校が野鳥の保護のために、これだけのことをするのは画期的である」、日本自然保護協会評議員の柴田氏は「創価学会は以前から環境問題に理解を持っておられるが、今後は具体的な野鳥の調査研究・自然保護活動で活躍していただきたい」等の声や、野鳥の調査で以前から現場周辺をよく知っている農林水産省森林総合研究所の川路氏・高野氏からはタンチョウやヤイロチョウ等についての調査・研究の要望をいただきました。
これらの声を参考に、今後、具体的な調査・研究のテーマを考えていきたいと思います。
2番目の自然教育活動としては、各フィールド内の自然観察路の整備と、サマーセミナーを進めていきたいと考えています。
はじめに自然観察路については、別海フィールドでは専門家の意見を参考にして、創価学会の協力を得ながら今後計画・整備を行っていきたいと考えています。
また、霧島フィールドでは既にある散策路がそのまま利用できますので、今後は案内板や標識、植物の名札等を整備してまいります。
なお、当面は一般公開はせず、学園生や研修会参加者がバードウォッチングや自然観察を行える自然教育の場として利用していきたいと思います。
次にサマーセミナーについてですが、今年は「創価学園野鳥研究サマーセミナー」として行いましたが、来年からは、野鳥研究のみにとらわれず広く自然に親しむためのセミナーという考えから、名称も「野鳥研究」を取り、「創価学園サマーセミナー」として実施いたします。
来年度からは新たに八重山コースが加わり、次の3コースとなります。
(1) 別海コース−−−生徒参加人数 40名
(2) 霧島コース−−−生徒参加人数 40名
(3) 八重山コース−−生徒参加人数 15名
また、小学校児童のサマーセミナー参加について検討するため、東京創価小学校、関西創価小学校からも、それぞれ1名ずつ代表の先生が参加されます。
3番目の自然保護活動としては、当面別海フィールドにおいて、絶滅の恐れのある貴重な鳥であるタンチョウとシマフクロウの保護活動を中心に行っていきます。
また、各フィールド内の森林や湿原は、地域及び人類の財産として今後、厳正に保護していきたいと考えています。
別海フイールドの周辺には、特別天然記念物のタンチョウや天然記念物のシマフクロウが生息していることが、数回にわたる調査や地元の研究者の話からわかりました。
そこで、まず10月9日にタンチョウの餌付けのためにトウモロコシを広場に積み上げたところ、11日には早くもタンチョウがつがいで現われ、その後数日の間に4回つがいでやって来ました。
また、28日にもつがいで現われ、合計6回飛来しました。
現在タンチョウは、阿寒や釧路の給餌場に移動していますが、来年3月下旬には再びやって来ることと思います。
冬の餌付けによってタンチョウは増加しつつありますが、開発の影響で巣を作る湿原が毎年減っている現状では、別海フィールド内の湿原は、巣を作る場所として貴重な存在と言え、専門家の話でもタンチョウの繁殖の可能性は相当大きいということです。
シマフクロウは、体長70cm、翼を広げると2mという世界最大のフクロウで、北海道東部に100羽以下しか生息しておらず、天然林の伐採によって巣を作る樹洞のある大きな木がなくなり、絶滅寸前の鳥といわれています。
食物連鎖の頂点に立つシマフクロウは森林や河川等の環境の変化に敏感であり、一羽のシマフクロウを守ることによって、どれだけ沢山の動植物が保護されることになるか、測り知れないものがあります。
幸い別海フィールドの境界にはサケ・マスが遡上する当幌川が流れ、森林や草原にはネズミも多いので、巣を作る場所さえあれば繁殖の可能性があります。
そこで今月上旬、環境庁の委託を受けてシマフクロウの保護・増殖事業を行っている根室市の山本純郎氏らの協力を得て、高さ80cm、幅60cmもあるシマフクロウの巣箱を2個設置しました。
また同時に、シマフクロウと同様の理由で最近減少している、エゾフクロウの巣箱も2個取り付けました。
今後も、絶滅の恐れのある貴重なタンチョウやシマフクロウの保護のため努力し、未来への贈物として、この大切な大自然を守っていきたいと思います。
以上、経過報告並びに将来の展望について申し上げました。今後とも、先生方の御協力と御援助をよろしくお願い申し上げます。
