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第8回創価学園サマーセミナー


私たちは聞いた!
悠久ゆうきゅうの調べを 生命の調和ハーモニー

大自然のオーケストラに感動!!


<聖教新聞 1995年8月1日> より引用 (地図・写真を含む)


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 大自然は「生きた教室」――創価学園サマーセミナーも、今年で第8回を迎えた(7月25日〜29日)。 東京と関西の中学・高校の学園生が参加した、別海(北海道)、霧島(鹿児島)、八重山(沖縄)の各フィールドの模様を伝える。




別海 BEKKAI FIELD

“北の原野”の精妙な生態系を踏査


懸命に生きる物たち――野付半島

アザラシ
アザラシも歓迎(野付)!?
 穏やかな湾に生き物たちの“揺りかご”をつくる野付のつけ半島。 群れをなすアザラシ。干潟ひがたに憩う水鳥たち。シマエビ漁の打瀬船うたせぶねが、帆に風をはらみ、ゆっくりと行き交う。
 寒冷な、しかも塩分の多い土地にも、色鮮やかな自然の営みがあった。
 「さまざまな生物が、不利な条件をものともせず、懸命に力を合わせていたことに感動しました」


ツルになったおじさん――タンチョウの秘話

ハマフウロ
薄紫のハマフウロ
 「あ、ツルだ!」――野付半島では、タンチョウの優美な姿も発見。翌晩、釧路市丹頂鶴自然公園の高橋良治園長が講義を。
 37年間、タンチョウの保護に取り組んできた同園長は、世界初の人工ふ化・人工飼育も成功させた。一時は11羽に減ったタンチョウが今、607羽を数える。まさに絶滅の淵からタンチョウを救った苦労談、秘話に学園生の目が輝く。
 「保護を成功させたものは、机上の学問だけではないと思います。滅びゆくものを守ろうと執念を燃やした高橋先生の、知恵と実践の結晶です」
タンチョウ
優美な姿に、しばし目を奪われる――。“生命の宝庫”野付半島では、川岸に憩(いこ)う特別天然記念物タンチョウの親子を観察
フィールド
フィールドは、“生きた百科事典”。野鳥が、植物が語りかけ、興味は尽きない

3,000年の遺産――標津しべつ湿原

標津湿原
標津(しべつ)湿原でのフィールドワーク。中層・高層湿原に特有の植生が見られた
 湿原は、3,000年の時がつくりあげた微妙な生態系。コケなどの植物が枯れて少しずつたい積し、厳しい環境を生命の楽園へと、ゆっくりと変えてきた。
 標津湿原を、講師の三浦二郎氏(日本野鳥の会北海道ブロック協議会事務局長)と歩く。
 「そこを見てごらん。土が顔をのぞかせていますね。残念なことに、ここに生える草花を盗掘する人がいるのです。元の姿に戻るには、何年もかかります」
 自然の神秘を知った学園生は、「繊細な湿原の生き物には、人間の破壊の力は大きすぎます。私たちにできることは、彼らの営みを精いっぱい守ることだけです。その生存を脅かす資格は、だれにもありません」。


陰の働き者を忘れない――キノコの力

講義
連夜、専門家による講義が。テーマは動植物、タンチョウ、菌類、遺跡など多岐にわたった
 “キノコ一筋”の研究者・仁和田久雄氏(元北海道教育大学講師)がフィールドで講義。目には見えにくい菌類。黙々と有機物を分解する、その働きがなくなったら、すべての生命は一カ月たりとも生き延びることはできないでしょう、と。
 「菌類の話をうかがって思いました。見えないところで支えてくれる人たちのことを忘れてはいけないなって。採取した小さなキノコの一つ一つが、ずっしりと重かったです」




霧島 KIRISHIMA FIELD

霧島火山は地球の“せい”の鼓動こどう

 太古からの火山活動によって造られた、世界有数の火山地帯・霧島連山。
 セミナーの講師陣には、自然観察員の谷山義則氏、今別府純男氏、中野シゲ子氏、地質学専門家の柿田甲子郎氏、植物研究家の杉本正流まさる氏、「日本野鳥の会」の石井久夫氏、「霧島星の会」代表の鞆田ともだ龍彦氏ら。
 初日から学園生を驚かせたのは、霧島の火山群。「溶岩のねばりけや噴出の仕方などによって、火山の形状が違ってきます」との話を裏付ける、さまざまな火山。臼状火山(ホマーテ)の韓国岳(1700m)を最高峰に、成層火山(コニーデ)の高千穂峰、盾状火山(アスピーテ)のえびの岳など、8つの火口湖と26の火山があることを学んだ。
 翌日には早速、現地でそれぞれの火山を“検証”。広角度に眺望が広がる大自然のパノラマに、感動の声が。
 「火山性の土壌は肥沃ひよくではなく、天然記念物のミヤマキリシマも、見事なアカマツ林も、せた土地に生育する植物です」との説明に「一生懸命、生きているんですね」と学園生の優しい声が聞かれた。
 研究路の道沿いには、台風でなぎ倒された木々が。「ここでは火山の噴火によって土壌の形成が遅く、大木でも根が浅い。だから一度、人間が手を加えると、根の周りの土が浸食され根の浅い霧島の木々は倒れてしまう」との説明に「ちょっとした私たちの行為で、いとも簡単に自然は破壊されてしまうんですね」。自然保護の難しさを学習した。
硫黄山
活動が活発な硫黄山で火山の地形の特色を観察
巣箱
“優しい心”で巣箱の掛け換え

 多くの人々の長年の自然保護活動により、フィールドには約820種の植物が生息。 今回の散策でも、開花している花だけでナツツバキ、シャンシャンポなど60種類を確認した。
 森の中には、イノシシがえさをあさった跡や、ニホンシカが木の皮を食べた跡もくっきり。早朝の探鳥会では、ヤマガラやコゲラ、シジュウカラなどの美しいさえずりに耳を澄ました。夜はアナグマやタヌキ、ニホンシカに出あった学園生も。
 また、夜は星空との“対話”も楽しみの一つ。澄み切った夏の天空を天体望遠鏡でのぞくと、天の川や、さそり座、夏の大三角形などの星座が美しい。
 「こんなにたくさんの星を見るのは初めて。無限に広がる宇宙のロマンを感じます」と霧島の大自然を堪能たんのうしていた。
セミ
セミの羽化
アナグマ
アナグマ
噴気
フィールド内の所々に噴気が
天体観測
学園生の心も宇宙と一体に



八重山 YAEYAMA FIELD

「進化の物語の舞台(石垣島・西表島)」で“共生”を学ぶ

ツノトンボ
ツノトンボ
ヤシガニ
ヤシガニ
ヤドカリ
貝とともにヤドカリ(左)が
 「このトンボは、不思議な形をしているよ」――石垣島の米原よねはらに群生するヤエヤマヤシを観察した折のこと。ある生徒が、トンボの原形といわれるツノトンボを採集した。
 「これは珍しい!」。沖縄大学の大嶺哲雄教授の声に皆が集まり、特徴を一つ一つ観察。羽が短く、斑点(はんてん)がない。また触角がツノのように細長い。
 「進化の物語の舞台」と言われる八重山諸島での、大自然との出あいに、学園生の胸は高鳴る。
 この日は、群落に入るやいなや、ヤエヤマオオコウモリが飛来し“あいさつ”を。 石灰岩でできた山道を登っていくと、カタツムリの一種オオベソヒラマキガイを発見。また、サソリモドキも登場した。
 「さあ、次は何が出てくるんだろう」。うっそうと茂るヤエヤマヤシの中で、若き“探検家”たちは「自然の宝」を次々と発見していった。
 ヤエヤマヤシは、世界でも石垣島、西表いりおもて島のみに自生する固有種で、原始的なヤシ。高さが20mにも達する米原のものは最大で、ほぼ完全な自然状態。若芽は美味で食用になり、葉や茎は建築用に使われるため、ほかの地域では絶滅してしまった。
 自然は、一度破壊されると、なかなか回復し難い。そして、失われた自然は、二度と元には戻らない。
 「かけがえのない自然環境を守り、共生していくことの大切さを学びました」との感想も聞かれた。
 第1回から同行している大嶺教授は、「皆さんの熱心な姿に、私も触発されました。 教科書や図鑑などで勉強した動植物に、じかに触れる驚き。感動。これは最高の環境教育です」と語る。
セミ
大嶺教授から、日本の貴重種の一つであるヤエヤマヤシの説明を受ける
アンパル
アンパル湿地帯では、マングローブ林を形成しているヒルギの植生を観察

<メモ>

パイナップル
「たくさん取れたよ!」。南国の陽光をたっぷり浴びたパイナップルを収穫
○…西表島では、パイナップル畑で収穫実習を。甘い果実は2〜3kgもあるため、茎は簡単に折れてしまうが、台風などに対しては葉と葉が“団結”し、実を支え合う。

○…“東洋のアマゾン”仲間川の上流の亜熱帯密林の中では、樹齢約400年のサキシマスオウノキを観察。板根ばんこんと呼ばれる屏風びょうぶのような根は、かつては船のかじなどに使われた。
サキシマスオウノキ
堂々とそびえる日本最大のサキシマスオウノキに、自然の雄大さを実感

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