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| このページの写真は、委嘱研究員・福原幸昭氏 撮影 |

北海道東部の冬は、長く厳しい。
10月に、すでに初冬の気配が漂い、間違いなく冬が去ったと誰もが感じるのが5月の初め頃だから、1年の半分は冬だといっていい。
オナガガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、クロガモ、コオリガモ等々、幾種類ものカモたちが、束の間の休息場にするこの辺りの海は、当然のことながら、彼等の幅広い食事の好みに充分応えられるだけの量を持った食料庫でもある。
この地方の夏は、爆発的にやってくる。
「春めいてきた」というのは、「夏がやってくる」というのと、ほとんど同じことなのだ。
それは、花を見ても虫を見ても、鳥を見てもいえる。
土地の人々の呼ぶ『日の丸』や『喉赤』の方が、ずっとこの鳥の特徴を表している。
草原にスターがいるように、森にだってスターはいる。
たとえばキビタキだ。
この鳥は、明るい林にも暗い森にも住んでいる。
古来『焼酎一杯グィーッ』と鳴くというので有名なセンダイムシクイも多い。
が、実際にはそんな嬉しい鳴き方ではなく、「チヨチヨ、ビィーッ」あるいは「ツツジィー」と、もっと単調だ。
夏は突然やってきて、突然去る。
8月にはもう、秋風が立ちはじめ、北国から南国はるかを目指すシギやチドリの群れが海辺にやってくる。
一方、寒さがより厳しくなって、草原が雪原に変わるようになると、遠く北極圏から珍客たちがやってくる。
サンクチュアリ周辺には、8種類の天然記念物の鳥が見られる。
タンチョウ、コクガン、ヒシクイ、マガン、シマフクロウ、オオワシ、オジロワシ、クマゲラがそれである。
日本で指定されている天然記念物の鳥の、何と3分の1にあたる。
もっとも見ることがむずかしいのはシマフクロウである。
全長80cm近いこの鳥は、世界最大のフクロウであると共に、魚を主食にする、という変わった習性をもっている。
たかだ・まさる (ナチュラリスト)1945年、名古屋市生まれ。 早稲田大学商学部卒。 雑誌記者を経て、根室市で民宿を経営するかたわら、野鳥に囲まれて、執筆活動を続ける。 主な著書に『ニムオロ原野の片隅から』『ある日、原野で』『雪の日記帳』『野鳥』『コンチネンタルバーディング』など。
