

タンチョウの夫婦は、とても固い絆(きずな)で結ばれていることで知られています。
鳴き合いをし、夫婦のちぎりを結んだ時から、
どちらか一方が死ぬまで決して絆が壊(こわ)れることはありません。
タンチョウは二個の卵を産み、交代で卵を温めめます。
卵に声を掛けながら、大事に大事に育てます。
32日目でヒナがかえると、メスがヒナを独占します。
雨の日など、ずっとヒナを抱き続け、
長い首を回しては周囲からエサを取り、ヒナに与えます。
一方、オスはエサを探したり、外敵から守ることに全力投球です。
こうして、ヒナが飛べるようになるまでのおよそ3ヶ月間、
つがいは自分たちの生命をすべで我が子に与えて生活します。
ヒナが"もうエサは要(い)らない"と言うまで決して自分たちは食べないのです。
春の訪れとともに、つがいは次の産卵の準備に入ります。
すると一転して、我が子を突き放すようになります。
これも種を保存し、繁栄させるための儀式なのでしょう。
さて、私たちが人工ふ化に取り組むなかで、さまざまな体験をしました。
その一つが音の交流の大切さです。
カラスが飛んで来た時、"ピーちゃん、危ない!"
とタンチョウのヒナに声をかけてやると、
やがて走って来て足元に隠れるようになります。
また、夜、一緒に寝る時に、右のわきよりも左のわきに置いた方が"寝付き"がいいのです。
おそらく心臓の鼓動を感じているのでしょう。
更に、夜中、盛んに″トイレに行きたい″と鳴いて私を起こします。
"よし、行っといで"と言葉を返すと、安心したように夜具を抜け出し、
用を足してかえってくるのです。
音の交流がお互いを太いパイプで結び付けることを学びました。
この素晴らしいタンチョウが、いつまでも道東の天地で舞い続けることを祈る毎日です。
