INSTITUTE of NATURAL SCIENCE and EDUCATION in SOKA SCHOOL SYSTEM

野鳥・自然環境研究所報告

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第6巻第3号 (通巻第23号)

2007年3月24日 発行


別海フィールドの自然環境調査 Photo Report

別海フィールド研究協力者 松浦賢一


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地図
写真

  1. はじめに
  2.  北海道の東部に位置する別海フィールドは、タンチョウやエゾフクロウなど100種類を超す野鳥たちが訪れる自然の楽園である。フィールド内には、湿原や湿性林、サケが遡上する当幌川など稀少な道東の自然がそのまま残っている。
     1978年(昭和53年)、創立者池田大作先生の別海訪問の折り、「これは素晴らしい。手をつけずにそのままにしておくべきだ。10年、20年後にその意味がわかる時がくるよ。」と樹木の一本一本に名前をつけられた、とのエピソードのとおり、21世紀に入り、その価値が認識されはじめている。
     経済至上主義がはびこる世の中にあって、もっと自然や人間という価値に目を向け、そして「持続可能な開発のため」に行動を起こさねばと深く決意をし、2004年(平成16年)より、別海フィールドおよびその周辺地域の自然環境を定期的に調査し、その内容をフォトリポートとしてまとめ、フィールド関係者に電子メールで報告してきた。その数は3年間で69回を数える。
     毎月、定期的に別海フィールドの自然環境を調査する中で、その豊かな原生の自然の価値が大きいことを痛切に感じる。


  3. 別海フィールドの1年間の気象
  4.  別海フィールドの位置する北海道東部の気候は、夏は気温が低く、冬は比較的雪が少ない。気象庁による気象観測データのうち、別海フィールドに最も近い観測地点が標津町である。気象統計情報によると、この地域の1年間の平均気温、平均風速、降水量、日照時間等については以下の表の通りである。
     最も気温が高かった月は8月で、2006年の最高気温は31.2℃。最も気温が低かった月は1月だが、最低気温を記録したのは2月で-23.0℃。最大温度差は54.2℃もある。1年間で最高気温が25℃以上を記録した日はわずか17日。別海フィールドの夏がいかに涼しいかがわかる。また、最低気温が0℃以下の日数は155日。年間の平均気温は6℃である。
     降水量については、その年によって変化が見られるが、平均して1〜2月の冬の時期の降水量は少ない。このことから雪が少ないことがわかる。
     気温が低いため、雪解けの時期は遅いが、そのことが湿原の水位を保っていることにつながっていると思われる。

    別海フィールドに最も近い地点での気象観測データ(出典:気象庁)
    標津(根室支庁)緯度:北緯43度39.7分/経度:東経145度07.9分

    2006年の気象(降水量・風速・風向・日照時間)
    ※10月は一部欠測率6%、12月は一部欠測率3%
     降水量最大日降水量起日最大1時間降水量起日・起時平均風速最大風速風向起日・起時日照時間日降水量
    1mm以上日数
    日降水量
    10mm以上日数
    単位mmmm(月/)mm(月/)m/sm/s (月/)時間
    1月45.011.03日2.014日3.110.0北西25日140.8131
    2月39.07.04日3.027日2.811.026日148.6140
    3月79.014.019日3.029日3.312.0北東29日137.0153
    4月131.048.021日14.021日3.412.0東南東20日148.7135
    5月190.051.030日9.01日2.99.02日188.1135
    6月176.063.028日14.028日2.611.01日68.4134
    7月26.015.012日8.012日2.16.0南東9日76.491
    8月87.033.019日13.019日2.36.0東南東28日120.3113
    9月193.097.028日19.028日2.912.0北北東28日139.2123
    10月252.0*117.0*8日20.0*8日3.4*16.0*北北東7日140.6*9*3*
    11月113.044.012日12.012日2.910.0西北西23日119.4113
    12月79.031.027日6.0*27日2.612.0*28日148.0132
    全年1410.0117.010月8日20.010月8日2.916.0北北東10月7日1575.514633

    2006年の気象(気温)
    ※10月は一部欠測率6%、12月は一部欠測率3%
     平均気温最高気温起日・起時最低気温起日・起時日照時間日最高気温0℃未満日数
    (真冬日)
    日最高気温25℃以上日数
    (夏日)
    日最高気温30℃以上日数
    (真夏日)
    日最高気温35℃以上日数日最低気温0℃未満日数
    (冬日)
    日最低気温25℃以上日数
    単位(月/)(月/)時間
    1月-6.41.02日-21.822日140.824000310
    2月-5.35.727日-23.012日148.618000270
    3月-0.57.56日-10.73日137.06000300
    4月1.916.427日-5.25日148.71000160
    5月8.526.116日-0.23日188.1010010
    6月10.925.326日3.24日68.4010000
    7月14.429.513日8.83日76.4030000
    8月20.131.26日10.71日120.30101000
    9月16.425.83日3.526日139.2010000
    10月9.9*20.4*5日-3.8*27日140.6*00*0*0*4*0
    11月4.917.49日-5.119日119.40000160
    12月-2.76.7*13日-13.7*26日148.0110*0*0*300
    全年6.031.28月6日-23.02月12日1575.56016101550

    気象グラフ2006

    気象グラフ2005


  5. 湿原の四季
  6.  別海フィールドは、野付湾に注ぐ当幌川のほぼ最下流の右岸の部分に位置する。フィールドにある湿原域は、横断する“黎明の橋”を境界にして、南側の“原生湿原”と北側の“悠久湿原”に分けられる。それら2つの湿原を毎月定期的に観察し、写真に収めた。撮影した写真を月ごとに見てみたい。

    湿原地図

    1月: 平均気温は-6.4℃。湿原の水は凍っている。積雪量の少ない道東地域にも雪が積もり始める。
    2月: アムール川から押し寄せてくる流氷が、近くの海岸に接岸。1年間で最も寒さの厳しい季節。厳しい冷え込みの朝には、樹木の枝に樹氷がつく。降雪量も多くなり、湿原は真っ白な雪でおおわれる。
    3月: 朝晩の冷え込みは厳しいが、下旬には気温が徐々に緩やかになってきて、雪も少しずつ溶け始め積雪量も減少する。
    4月: 雪が残っている箇所も一部見られるが、いたるところに雪解け水が溜まる。フキノトウやミズバショウが芽吹き始める。
    5月: 肌寒い日は続くものの、陽光が差して暖かくなり始める。湿原の草の色が徐々に緑色に変化しつつあり、春の訪れを感じさせる。雪解け水で水位は高い。この頃、フキノトウは役目を終えて大きなフキに代替わりする。様々な植物の芽が出始め、桜についても、中旬から下旬にかけて開花する。子育てに一生懸命な野鳥の姿も見られ、フィールド内では美しい野鳥のさえずりがあちこちで聞こえる。
    6月: 新緑の季節。色とりどりの美しい花が見られる季節。スミレ科の花が咲き乱れる。ミズバショウは開花を終え、葉が大きく成長する。
    7月: 気温が上昇し始め、1年間で最も過ごしやすい爽やかな季節。草木も大きく成長する。アヤメ科の花が咲き乱れる。
    8月: 蒸し暑い日が続き、セミ、ハチ、蚊などの昆虫も多く発生。夜には自生しているヘイケボタルの小さな光が湿原に舞う。湿原の水位は高く、植物の背丈も伸びてくる。
    9月: 涼しい季節を迎え、湿原の青々としていた植物の色が徐々に薄くなり始める。
    10月: 朝晩の冷え込みが続き、紅葉の美しい季節。ススキが伸びて、日に日に秋が深まるのを感じさせる。
    11月: 湿原の草花が枯れ、初雪が見られる季節。下旬には、湿原の水面に薄い氷がはり、うっすらと雪がかかっているのが確認できる。植物は霜で白くなっていることもある。本格的な冬の訪れが間近に迫っているのを感じさせる。
    12月: 気温が低下し、日中でも湿原の水面には氷がはっているのを確認。下旬には、雪が積もり始める。

     以上のように、別海フィールドでは、四季がはっきりしている北海道ならではの風物詩を楽しむことができる。


    <原生湿原の1年間の変化>

    1月
    1月
    2月
    2月
    3月
    3月
    4月
    4月
    5月
    5月
    6月
    6月
    7月
    7月
    8月
    8月
    9月
    9月
    10月
    10月
    11月
    11月
    12月
    12月


    <悠久湿原の1年間の変化>

    1月
    1月
    2月
    2月
    3月
    3月
    4月
    4月
    5月
    5月
    6月
    6月
    7月
    7月
    8月
    8月
    9月
    9月
    10月
    10月
    11月
    11月
    12月
    12月


  7. 湿原の植物(原生湿原と悠久湿原)
  8.  低層から中層湿原の特徴をもつ「原生湿原」では、いくつもの希少植物が確認された。特に、絶滅危惧II類(VU:絶滅の危険が増大している種)にランクされている2種類のラン科植物、トキソウとこの地方の湿原にしか残存しないコアニチドリを確認する。いずれもかなりの数が見られる。また準絶滅危惧種(NT)のヒメワタスゲや北海道レッドデータであるアカンスゲを確認。黎明の橋付近の水位の高いところでは、絶滅危惧種II類(VU)のカキツバタ(アヤメ科)、北海道レッドデータであるエゾミクリ(ミクリ科)をそれぞれ確認する。その他にも、ウスバスミレやエゾイソツツジなどのミズゴケ湿原で特有な分布を示す希少種も見られる。
     一方、「悠久湿原」には、ヤチハンノキやヤチヤナギ、ヨシ、ヤチスゲ、ツルコケモモなどが見られる。ヤチボウズの発達も進んでいる。この悠久湿原では、絶滅危惧種IB類(EN)のタルマイスゲ、II類(VU)のホロムイクグ、北海道レッドデータであるアカンカサスゲをそれぞれ確認する。いずれもカヤツリグサ科である。

    名称原生湿原悠久湿原
    面積(ha)1050
    主な景観大型のヤチボウズとブルトが発達 小中型のヤチボウズが散在
    矮小なヤチハンノキが密生
    希少植物

    (※印は新たに確認された植物)

    ※ コアニチドリ(日本VU、ラン科)
    ※ カキツバタ(日本VU、アヤメ科)
    ※ エゾミクリ(北海道R、ミクリ科)
    ※ アカンスゲ(北海道R)
    ※ タルマイスゲ
     (日本EN、カヤツリグサ科)
    ※ アカンカサスゲ(北海道R)
    ヤチスゲ(カヤツリグサ科)
    ミタケスゲ(カヤツリグサ科)
    ※ ホロムイクグ(日本VU、カヤツリグサ科)
    トキソウ(日本VU、ラン科)
    ヒメワタスゲ(日本NT、カヤツリグサ科)
    ウスバスミレ(スミレ科)
    モウセンゴケ(モウセンゴケ科)
    ツルコケモモ(ツツジ科)
    ヒメシャクナゲ(ツツジ科)
    コタヌキモ(タヌキモ科)
    新たに確認された主な植物 ※ オオツリバナ(ニシキギ科)
    ※ エゾカンゾウ(ユリ科)
    ※ カラフトブシ(キンポウゲ科)
    ※ キソチドリ(ラン科)
    ※ クサレダマ(サクラソウ科)
    ※ ヒメイチゲ(キンポウゲ科)
    ※ ヒメザゼンソウ(サトイモ科)
    ※ フユガラシ(アブラナ科)
    ※ ミネハリイ(カヤツリグサ科)
    ※ オククルマムグラ(アカネ科)
    ※ オニナルコスゲ(カヤツリグサ科)
    ※ テンナンショウ(サトイモ科)
    ※ ヒメナルコスゲ(カヤツリグサ科)
    ※ ミクリゼキショウ(イグサ科)
    ※ ヨツバムグラ(アカネ科)
    ※ エゾイソツツジ(ツツジ科)
    ※コツマトリソウ(サクラソウ科)


    <原生湿原と悠久湿原で見られる希少植物>

    コアニチドリ
    コアニチドリ
    カキツバタ
    カキツバタ
    エゾミクリ
    エゾミクリ
    アカンスゲ
    アカンスゲ
    トキソウ
    トキソウ
    ヒメワタスゲ
    ヒメワタスゲ
    タルマイスゲ
    タルマイスゲ
    ホロムイクグ
    ホロムイクグ
    アカンカサスゲ
    アカンカサスゲ
    ミタケスゲ
    ミタケスゲ
    ヤチスゲ
    ヤチスゲ
    ウスバスミレ
    ウスバスミレ
    エゾイソツツジ
    エゾイソツツジ
    ヒメザゼンソウ
    ヒメザゼンソウ
    コタヌキモ
    コタヌキモ
    ミツガシワ
    ミツガシワ
    モウセンゴケ
    モウセンゴケ
    ヒメシャクナゲ
    ヒメシャクナゲ
    キソチドリ
    キソチドリ
    ツルコケモモ
    ツルコケモモ
    ミズバショウの群落
    ミズバショウの群落


  9. フィールド内の植物(牧口森林公園と池田自然公園)
  10.  悠久湿原の東に位置する「牧口森林公園」には、カシワやミズナラを中心とした落葉広葉樹林が広がり、ほかにもハルニレやシラカンバなどが見られる。これは道東地方の特有の森林相が保存されていることを示す。さらにミヤコザサが広がっており、50年から100年に1回しか咲かない花も観察できた。
     2005年(平成17年)6月、牧口森林公園内にて、環境省が絶滅危惧IB類(EN)に指定するボタン科のベニバナヤマシャクヤクの自生を確認し、その開花した写真の撮影に成功。地元紙・釧路新聞の一面にその内容が掲載し注目された。2006年(平成18年)の調査では、13株に数が増えていることが確認された。他の地域ではなかなか見ることのできない、ベニバナヤマシャクヤクの発見は、別海フィールドが原生の豊かな自然がそのまま残っている貴重なフィールドであることを証明している。また、絶滅危惧IB類(EN)のシコタンキンポウゲ(キンポウゲ科)、北海道レッドデータのクロユリ(ユリ科)を確認する。さらに、ギンリョウソウ(イチャクソウ科)やキク科のチシマアザミとエゾヤマアザミ等を新たに確認する。
     一方、「池田自然公園」にはミズナラなどの広葉樹林が広がり、当幌川周辺の河畔林には、ヤチダモ、オノエヤナギ、ヨシ、ハンゴンソウ、スゲ、ミズバショウなどが広がり、大型のヤチボウズが発達した湿地帯も見られる。また、新たに確認された植物も多い。アカネ科のクルマムグラとヨツバムグラ、ナデシコ科のオオヤマフスマとノミノツヅリ、エゾノカワヂシャ(ゴマノハグサ科)、ササバギンラン(ラン科)等を確認する。  また、黎明の橋西側の原生湿原の端に位置する道路付近にて、絶滅危惧II類(VU)のタライカヤナギの植生を確認する。

    名称牧口森林公園池田自然公園
    位置悠久湿原北東側原生・悠久湿原南西側
    主な景観落葉広葉樹林 落葉広葉樹林
    川沿いは大型のヤチボウズが発達した湿地帯
    希少植物

    (※印は新たに確認された植物)

    ※ ベニバナヤマシャクヤク(EN、ボタン科)
    シコタンキンポウゲ(EN、キンポウゲ科)
    ※ タライカヤナギ(VU、ヤナギ科)
    クロユリ(北海道R、ユリ科)
    新たに確認された主な植物 ※ イケマ(ガガイモ科)
    ※ イヌガラシ(アブラナ科)
    ※ エゾハタザオ(アブラナ科)
    ※ エゾヤマアザミ(キク科)
    ※ エゾヨモギ(キク科)
    ※ ギンリョウソウ(イチャクソウ科)
    ※ クルマバソウ(アカネ科)
    ※ コウライテンナンショウ(サトイモ科)
    ※ チシマアザミ(キク科)
    ※ ツボスミレ(スミレ科)
    ※ ハタベスゲ(カヤツリグサ科)
    ※ ヒメイチゲ(キンポウゲ科)
    ※ ミヤマエンレイソウ(ユリ科)
    ※ ミヤマオダマキ(キンポウゲ科)
    ※ ラウススゲ(カヤツリグサ科)
    ※ エゾアカバナ(アカバナ科)
    ※ エゾノカワヂシャ(ゴマノハグサ科)
    ※ キレハイヌガラシ(アブラナ科)
    ※ クルマムグラ(アカネ科)
    ※ ササバギンラン(ラン科)
    ※ シロネ(シソ科)
    ※ ネムロタンポポ(キク科)
    ※ ヒレハリンソウ(ムラサキ科)
    ※ ミズチドリ(ラン科)
    ※ ヤマタネツケバナ(アブラナ科)
    ※ ヨツバムグラ(アカネ科)
    ※オオヤマフスマ(ナデシコ科)
    ※ノミノツヅリ(ナデシコ科)


    <牧口森林公園・池田自然公園で見られる植物>

    ベニバナヤマシャクヤク
    ベニバナヤマシャクヤク
    ベニバナヤマシャクヤクの花
    ベニバナヤマシャクヤクの花
    ベニバナヤマシャクヤクの花
    ベニバナヤマシャクヤクの花
    シコタンキンポウゲ
    シコタンキンポウゲ
    シコタンキンポウゲの花
    シコタンキンポウゲの花
    珍しい八重咲きのシコタンキンポウゲの花
    珍しい八重咲きのシコタンキンポウゲの花
    クロユリ
    クロユリ
    ヒメイチゲ
    ヒメイチゲ
    ギンリョウソウ
    ギンリョウソウ
    ヤチボウズ(カブスゲ)
    ヤチボウズ(カブスゲ)
    クルマムグラ
    クルマムグラ
    オオヤマフスマ
    オオヤマフスマ
    エゾノカワジシャ
    エゾノカワジシャ
    ヤマタケツケバナ
    ヤマタケツケバナ
    ヨツバムグラ
    ヨツバムグラ
    キレハイヌガラシ
    キレハイヌガラシ
    ササバギンラン
    ササバギンラン
    50年から100年に1回しか咲かないミヤコザサの花
    50年から100年に1回しか咲かないミヤコザサの花
    満開のタライカヤナギ
    満開のタライカヤナギ
    タライカヤナギの芽
    タライカヤナギの芽
    タライカヤナギの葉
    タライカヤナギの葉


  11. フィールドに生息する野鳥
  12.  別海フィールドには、国の天然記念物であるタンチョウが何度も飛来。タンチョウのつがいが池田記念広場で仲良く餌をついばむ姿を観察することができる。
     雪が降る冬期間は、フィールド内の6カ所に設置してあるバードテーブルに、ひまわりの種を給餌している。主に観察できる野鳥は、シジュウカラ、ヒガラ、ハシブトガラ等のカラ類。ゴジュウカラ、エナガ、ヒヨドリ、アカゲラ、ミヤマカケス等。また、日本最小の野鳥であるキクイタダキやウソの飛来も確認された。
     また、冬の海岸には、オオハクチョウの群れが飛来。国の天然記念物であるオオワシやオジロワシの勇壮な姿を観察することもできる。
     世界最大のフクロウであるシマフクロウについても、近い将来、別海フィールドにも飛来してくることを願い、巣箱を設置している。

    タンチョウ  タンチョウ  タンチョウ
    別海フィールドに飛来するタンチョウのつがい
    オオジシギ
    オオジシギ
    オオワシ
    オオワシ
    オオハクチョウ
    オオハクチョウ
    ウソ
    ウソ
    シマエナガ
    シマエナガ
    バードテーブルを訪れるハシブトガラ
    バードテーブルを訪れるハシブトガラ
    アカゲラ
    アカゲラ
    コゲラの幼鳥
    コゲラの幼鳥
    日本最小の野鳥キクイタダキ
    日本最小の野鳥キクイタダキ
    ツツドリ(赤色型雌)
    ツツドリ(赤色型雌)
    シマフクロウの巣箱
    シマフクロウの巣箱
    シマフクロウ(羅臼)
    シマフクロウ(羅臼)


  13. フィールドに生息する動物
  14.  エゾユキウサギ、エゾリス、エゾモモンガ、キタキツネ、エゾシカ、エゾイタチ等を確認。冬期間は、雪上に残された足跡により、それらの生息を確認できる。例えば、エゾユキウサギの足跡には特徴がある。足跡の前方の2つが後ろ足で、後方の2つが前足の足跡。これは、ジャンプしたときに前足より前方に後ろ足が着地するからである。

    エゾユキウサギ
    エゾユキウサギ
    雪上に残されたエゾユキウサギの足跡
    雪上に残されたエゾユキウサギの足跡
    エゾシカ
    エゾシカ


  15. フィールドの自然を活用した環境教育活動
  16.  貴重な自然環境を、教育活動に活用しようと、毎年夏にサマーセミナーを企画し、これまで9年連続で開催している。10回を機に報告書をまとめたいと考えている。
     また、創価大学自然環境研究センターによる学術研究も進められており、フィールドにはネット気象台や水位計が設置されている。調査・研究に訪れる学生も増えている。

    サマーセミナーでの巣箱かけ
    サマーセミナーでの巣箱かけ
    サマーセミナーでの自然観察
    サマーセミナーでの自然観察
    ヘイケボタル
    ヘイケボタル
    ネット気象台
    ネット気象台
    湿原に設置してある水位計
    湿原に設置してある水位計
    調査に訪れる学生
    調査に訪れる学生


  17. おわりに
  18.  2005年(平成17年)7月14日、別海フィールドに近い「知床」がユネスコの「世界自然遺産」に登録された。さらに同年11月8日、別海フィールドに面した「野付半島・野付湾」(別海町・標津町)と「風蓮湖・春国岱」(別海町・根室市)が、国際的に重要な湿地や湖沼を保全する「ラムサール条約」に登録された。別海フィールド周辺の自然環境に対する価値が国際的に評価されはじめている。
     さらに国連は、池田先生が提唱してきた「持続可能な開発のための教育の10年」を2005年(平成17年)から正式にスタートした。持続可能な未来を開く、その原動力は教育にある。自然保護・保全活動にさらに力を注ぎ、世界のあこがれである「別海フィールド」の豊かな自然を守りながら、自然や他者と共生していく心、平和を愛する心をはぐくむ「環境教育」「人間教育」に全力で取り組んでまいりたい。
     なお本稿の執筆にあたり、大西英一先生(釧路短期大学教授・創価大学客員研究員)と福原幸昭氏(動物カメラマン・創価学園委嘱研究員)に有益なコメントをいただいた。ここに感謝する。
     結びに、別海フィールド開設当時より調査・研究活動にご尽力され、湿原についてたくさんのことをご教示いただいた、牛沢信人先生(北海道大学名誉教授)が2月9日に御逝去された。謹んで哀悼の意を表し、御冥福をお祈りする。

    (松浦賢一:北海道別海高等学校教諭、創価大学自然環境研究センター客員研究員、別海町郷土研究会事業研究部会長、どんぐりネット北海道事務局員)


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