INSTITUTE of NATURAL SCIENCE and EDUCATION in SOKA SCHOOL SYSTEM

野鳥・自然環境研究所報告

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第7巻第1号 (通巻第24号)

2007年6月22日 発行


「環境ボランティア委員会」の活動

創価中学校教諭 菊池 泰男


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  1. はじめに
  2.  2007年6月8日、ドイツのハイリンゲンダムで開かれた第33回主要国首脳会議(サミット)で主要8カ国(G8)の首脳は、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの2050年までの半減を「真剣に検討すること」で合意しました。この会議では、日本の安倍晋三首相がポスト京都議定書の枠組みづくりに向けて論議をリードしました。

     昨年から本年にかけて、毎週のように日本からも世界からも、地球温暖化への警鐘と、温暖化防止のための提言が続いています。中でも衝撃的だったのは、アメリカの元副大統領アル・ゴア氏の地球温暖化問題への取り組みを追ったドキュメンタリー映画「不都合な真実」でありました(日本公開は2007年1月20日から)。これをきっかけに、地球温暖化防止へ対策を講ずることは人類の最重要課題となり、この流れに乗り遅れまいとする国家や企業も数多くでてきました。その一つの成果が今回のサミットの合意であったともいえます。
     このような時代背景のもとで、創価中学校のボランティア委員会は、2006年度から環境ボランティア委員会と名称変更し、いちはやく地球温暖化防止へ向けて積極的に行動を開始しました。1年間の活動を終えた時点で、記録を残すことも大切と考え、この紙面をかりて報告させていただきます。


  3. 環境ボランティア委員会の発足と基本精神
  4.  2006年(平成18年)1月、当時中学2年生であった江添正城君と目杉大樹君が、環境省が地球温暖化防止のため立ち上げたチーム・マイナス6%を教員達に紹介するため、中学校の一室で携帯スクリーンにコンピュータ画像を映し出し、プレゼンテーションを行いました。チーム・マイナス6%とは、京都議定書で日本が約束した、1990年比でのCO2排出量6%削減を2012年までに達成するためにできた国民的プロジェクトのことで、企業や法人などの団体と個人が参加できます。具体的には、以下の6つのCO2削減のための活動(アクション)を、参加単位に勧めています。

    アクション1. 温度調節で減らそう→具体的には冷房を28℃に設定するなど
    アクション2. 水道の使い方で減らそう→具体的には蛇口をまめにしめるなど
    アクション3. 自動車の使い方で減らそう→具体的にはアイドリングをなくすなど
    アクション4. 商品の選び方で減らそう→具体的にはエコ製品を選んで買うなど
    アクション5. 買い物とゴミで減らそう→具体的には過剰包装を断わるなど
    アクション6. 電気の使い方で減らそう→具体的にはコンセントをまめに抜くなど

     6月3日現在、12,068の法人・団体と、安倍晋三首相・若林正俊環境大臣をはじめ1,129,877の個人が参加しています。参加を表明した団体・個人はアクション1〜6のうち出来ることから挑戦し、参加団体は毎年2月に前年の活動(CO2削減行動、ロゴ使用実績等)をアンケートにより報告します。個人にはチーム員ナンバーが送られ、希望すればメールマガジンが配信されます。
     江添君と目杉君は生徒会内に環境委員会を立ち上げ、創価中学校としてチーム・マイナス6%に参加することを提案していましたが、教員側の生徒部会と職員会議で話し合い、新しい委員会の発足や、学校としてチーム・マイナス6%に参加することは、担当教員の補充や活動内容がまだ不確定なことなどから見送られ、現在あるボランティア委員会に環境部門を付加する形で承認されました。結果としてボランティア委員会担当であった菊池が、2007年度よりこの2人とともに、環境部門が加わった新しい委員会の面倒をみることになり、委員会の命名と活動内容を生徒ともに作り上げていくことになりました。


  5. 環境ボランティア委員会の命名と活動の概要
  6.  4月に入って、江添君が委員長、目杉君が副委員長、それに林大貴君が副委員長に加わって、2007年度のボランティア委員会が始まりました。
     まず、環境問題を大きく取り上げることから委員会の名称を「環境ボランティア委員会」と改名しました。主な目的は二つで、一つは「環境問題への貢献」、二つめは人道的、あるいは人権的な問題に対する中学生らしい運動と研究としました。そのため「環境貢献部門」・「人道貢献部門」・「広報部門」の三つの部門を委員会内に作り、各クラスから選ばれた委員を希望で振り分け、以下のような活動を開始しました。

    1. 環境部門の活動の概要
      1. 冷暖房の設定温度を決め、環境に配慮した使用を促す活動。
      2.  冷房は25℃、暖房は22℃に設定することに決め、これを徹底するため、「冷房は25℃」「暖房は22℃」のカードを作り、教室や職員室に貼りました。これが、地球温暖化防止へ向けて環境省が立ち上げたチーム・マイナス6%の貢献する活動の第一歩となりました。

      3. こまめに教室などの電気を消す運動をしました。
      4. 創価中学の使用している動力系の電力消費と電灯系の電力消費を、学校がある日は毎日、昼休みに電力計を読み、計測しました。
      5.  これは、ボランティア委員会が3年前から続けているもので、このデータを月ごとに集計し、電気を消す運動の効果を検証するようと考えていました。

      6. 地球温暖化の現状を訴えるさまざまな記事や写真を模造紙にまとめ、掲示板で啓蒙活動をしました。


    2. 人道貢献部門の活動の概要
      1. 深刻化するいじめ問題を取り上げ、生徒会とともに創価中学校として友情拡大運動を進めました。
      2.   →2006年度は、いじめ問題を描いたシナノ企画の映画「友達」のビデオ上映会をもちました。

      3. 世界の人権問題を紹介する記事をつくり、機関誌に載せたり、掲示したりしました。
      4.   →学園祭で「世界がもし100人の村だったら」の展示で、学園祭展示大賞を受賞しました。

      5. ユニセフ募金を始め、各地の災害時の緊急募金(06年度はジャワ島中部地震の救援募金に参加)などをしました。また、そのためのポスターなどを制作しました。


    3. 広報部門
      1. 2005年度発刊した機関誌「ボランティアーズ」を、2006年度より「地球市民」と改め、いままでの人道貢献に環境貢献も加えた内容としていくことにしました。
      2. 環境部門や人道部門の掲示の作成を協力したり、それぞれの部門が調べたことを機関誌に載せたりしました。
      3. 環境に配慮し、生徒全員へ配布は少なくし、主に廊下の掲示板や教室での掲示を心がけました。


  7. 環境貢献部門の活動の詳細
  8.  この報告書が自然環境に関することを主としているので、ここでは人道貢献部門についての詳細は省かせてもらい、主に環境貢献部門の活動の詳細を掲載させていただきます。

      電力計
      写真1.栄光食堂の電力計

    1. 電力調査
    2.  電力調査の結果は、2006年度より、その日に消費した電力とともに、計算により排出した二酸化炭素量がわかるようにしました。

      1. 測定
      2. 測定は、菊池が同伴して江添君・目杉君・林君が給食終了後に行いました。場所は、栄光食堂厨房横のスタッフ用の廊下の一番奥の電力計(写真1)で行いました。
         メーターは二つあり、一つは動力、もう一つは電灯で、ともに学校全体で消費している電気の量を表しています。
         毎回、大学ノートに線を入れて作った電力調査表に、その日の曜日・天気・温度・そして測定した動力と電灯の電気消費量を記入しました。


      3. 二酸化炭素排出量の計算方法
      4.  1日分の電力消費量は、その日に計測したデータから、前日のデータを引いて算出しました。土日を挟んだ場合は、その日のデータと、休業日前日のデータを引き、休業日数で割って記入しました。
         二酸化炭素の算出は、1日分の電力量(kwh)に0.38をかけて算出しました。求められた二酸化炭素はkgで表示されます。動力と電灯の二つを加えたデータが、創価中学の一日の二酸化炭素の排出量となります。参考に2006年度5月の例を表1に示しておきました。

        表1.電力消費量と二酸化炭素排出量調査の例
        表1


      冷房設定カード
      写真2.教室エアコンの冷房設定カード
      暖房設定カード
      写真3.職員室エアコンの暖房設定カード

    3. 冷暖房温度の設定
    4.  環境ボランティア委員会では、夏と冬に使用する冷暖房の設定温度を指定し、環境に配慮した使用の運動を推進しました。
       環境省はチーム・マイナス6%において、冷房28℃、暖房20℃を調整温度として定めていますが、教室の広さや生徒の密度などを考慮して養護教諭と相談した結果、創価中学校においては冷房25℃、暖房22℃が適正であると考え、これを徹底することにしました。

      1. カード作りと呼びかけ
      2. 夏は、水色で「冷房の設定温度は25℃」と書かれたカードを、冬は、オレンジ色で「暖房の設定温度は22℃」と書かれたカードをパウチし、両面テープで写真2・3のように、教室のリモコンの横や、職員室の操作盤の上に貼りました。張り替え時期は、夏の冷房設定カードを6月の下旬に、冬の暖房設定カードを10月下旬に張り替えるようにしました。

         また、冷暖房を使用し始める頃に、担任の先生方と各クラスの環境ボランティア委員に「冷房管理のお願い」・「暖房管理のお願い」(表2・3参照)を配布し、クラスへの呼びかけと設定の徹底をお願いしました。


        表2.「冷房管理のお願い」のプリント
        −冷房管理のお願い−
        環境ボランティア委員会
        いよいよ夏になり、30℃を超える日が続いています。
        クラスでも冷房を使用して授業をしていると思いますが、ここで環境ボランティア委員会からお願いがあります。
         
        「暑い 即 冷房」でなく、窓を開ける習慣を!
        暑いから冷房というのではなく、窓を開けるという対処をしてください。
        外の空気は、新鮮で、酸素も、締め切りの教室よりとても多く含まれています。すると脳も活性化され、勉強にも集中できます。
         
        冷房は<26℃弱>設定!「寒い!」なら消す
        環境に配慮し、冷房は26℃弱以下の設定にはしないでください。
        休みに時間に25℃以下になっている場合、授業のはじめで戻してください。
        「寒い」という声が上がったら、設定温度を上げる、風力を弱めるなどの対処ではなく、消してください。熱くなったら付けてください。
         
        冷房は頭を悪くさせる!?
        「冷房病」という病気がありますが、実際は「抹消循環不全」や「冷房症候群」をいわれています。
        このような病気は当然、冷房によって体が冷えることによって起こります。
        冷房の効いた部屋に長時間いると、当然皮膚の温度も下がりますが、腸などの温度も下がります。それが、急に暑い外に出ると皮膚の温度は早く外気の温度になれますが、腸の温度はしばらくさがったままです。
        そうすると人間のもっている体温の調節機能がバランスを崩してしまいます。
        そうすうことによって現れる主な症状は「不眠」です。
        すると、脳の活性化に繋がらず、勉強においての集中力が失われてしまいます。
         
        環境にも体にも優しい創価中に
        冷房は、快適で涼しい反面、環境にも体にもよくありません。
        しかし、暑すぎては逆に授業に集中することはできません。
        適度な温度で、適度な環境を提供すべく、先生方のご協力をよろしくお願いします。
         


        表3.「暖房管理のお願い」のプリント
        −暖房管理のお願い−
        環境ボランティア委員会
        いよいよ冬になり、10℃を下回る日が近づいてきました。
        クラスでもこれから、暖房を使用して授業をしていると思いますが、ここで環境ボランティア委員会からお願いがあります。
         
        「寒い 即 暖房」でなく、加湿器をつける習慣を!
        暑いから冷房というのではなく、窓を開けるという対処をしてください。
        外の空気は、新鮮で、酸素も、締め切りの教室よりとても多く含まれています。すると脳も活性化され、勉強にも集中できます。
         
        暖房は<22℃>設定!「暑い!」なら消す
        環境に配慮し、冷房は26℃弱以下の設定にはしないでください。
        休みに時間に25℃以下になっている場合、授業のはじめで戻してください。
        「寒い」という声が上がったら、設定温度を上げる、風力を弱めるなどの対処ではなく、消してください。熱くなったら付けてください。
         
        暖房は冷房よりも環境に悪い!?
        CO2の排出量から見ると、暖房の方が冷房よりも断然CO2の排出量が多くなっています。
        暖房を使うこの季節、冬だからこそできる環境美化に貢献したいものです。
         
        環境にも体にも優しい創価中に
        冬の季節、部屋で汗をかいている。夏に、寒気を感じている。
        冷暖房があるがためにこんなこと起こってしまっていませんか? ふつうに考えたらとてもおかしなことです。
        冷暖房という機械を快適に環境によく、そして体にもよく、適度な温度で、適度な環境を提供すべく、先生方のご協力をよろしくお願いします。
         




    5. 電灯の節電運動
    6.  教室や特別教室などの蛍光灯は、電力を消費し、結果として二酸化炭素を排出しています。チーム・マイナス6%では、環境に配慮し、こまめな消灯を求めています。そこで、教室移動や昼間の時間には必ず消灯するように運動を展開しました。
       しかし、この運動での電力量がどれほど減少したのかは、昨年度の同月の電力量との比較では、2006年度夏の教室電灯増設工事による電力消費量増加のため、よくわかりませんでした。今後の活動で、明らかになることを期待しています。


    7. ゴミゼロ運動
    8.  美化委員会主催の530(ゴミゼロ)運動が、2007年度からは環境ボランティア委員会と生活委員会も加わって、三大委員会共催の形で5月27日(土)に行われました。雨天のため、玉川上水や鷹の台商店街の通りなどの、郊外の清掃まではできませんでしたが、部活の時間をさいて443名が参加し、学校全体がとてもきれいになりました。
       これからも、地域の美化活動も環境問題の解決の方途の一つとして、積極的に参加していきたいと思います。


      展示大賞受賞
      写真4.展示大賞を受賞した環境ボランティア委員とその作品の一部

    9. 学園祭での環境展示について
    10.  9月30日から10月1日に開催された学園祭で、環境ボランティア委員会は「展示部門」に参加し、地球温暖化を警鐘するビデオコーナーと、「世界がもし100人の村だったら展」を企画し、後者が展示大賞を受賞しました(写真4参照)。
       展示は池田香代子氏のベストセラー「世界がもし100人の村だったら」の本をもとに、わかりやすく立体化したもので、小学生からお年寄りまで幅広く、理解し楽しめるものになりました。
       

    掲示板
    写真5.環境ボランティア委員会の掲示板

  9. 広報部門の環境情報活動の詳細
    1. 地球温暖化警鐘の掲示作成
    2.  中学校普通校舎2階の理科第2教室の廊下側掲示板を、環境ボランティア委員会のコーナーとしていただき、ゴア氏の「不都合な真実」から、衝撃的な情報をダイジェストにして掲示し、生徒にこの問題の深刻さをアピールしました(写真5参照)。


    3. 「地球市民の発行」の設定
    4.  今年度より名称変更した機関誌「地球市民」は、環境ボランティア委員会の環境部門や人道部門の活動やお知らせなどを、イラストや写真を入れて掲載し、全校生徒に配布もしくは、クラス掲示をしました。生徒配布の場合はB4〜A4版、クラス掲示や廊下掲示の場合はA3で印刷しました。
      創刊号(5月16日号)では、「ボランティアーズ」から「地球市民」へ改名した経緯と、委員長挨拶を載せました。
      第2号(6月15日号)では、「530(ゴミゼロ)運動」と「ジャワ島中部地震救援募金のお知らせ」を載せました。
      第3号(9月11日号)では、「ジャワ島募金の結果」と「冷房設定温度」「差別について考える」を載せました。
      第4号(11月16日号)では、「学園祭展示大賞受賞」と「暖房設定温度」「貧困について考える」を載せました。
      第5号(3月13日号)では、「ユニセフ募金の結果」と「3年生の大環境展」を載せました。

      地球市民第2号
      写真6.「地球市民第2号」



  10. おわりに
  11.  現在、日本と世界には、市場経済を背景とした利己主義が蔓延しているといえます。自分の利益、会社の利益、国の利益が優先され、貧富の差は拡大し、地球環境はどうしようもないほど破壊が進んでいます。創立者は、「他人の不幸の上に自分の幸福を築かない」ということを、生き方の基本として学園生に示して下さっています。環境ボランティア委員会は、「人に優しく、地球に優しく」と「思いは地球規模で、行動は足下から」を合い言葉に、これからも環境保護と人道貢献のために、地道に活動を続けていきたいと思います。



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